2011/01/30

「選択の科学」を読んだ

社会、文化、心理、にも深く根ざした人間の「選択」行動について書かれた非常に深い本だ。マーケティングに役立つ話も書いてあるが、そんな表層的なテクニックを知りたいという方にはお勧めしない。そんな方は下に列挙したまとめから読み取って欲しい。

私も比較的リサーチを長く経験しているが、人間の行動が如何に不可解で複雑なものか、「調査」なんかで簡単にえぐり出せるものなのかは永遠のテーマでもある。そんなことに思いを巡らす、深く考えさせられる本だった。改めて簡単に「正解」に辿りつく道など無いというのを思い知らされる。

本の帯にある「選択に関する意外な事実」がうまくまとめられているので記載しておく。
・社長の平均寿命は長い。選択権の大きさが理由だ
・動物園の動物の寿命が野生よりはるかに短いのは、選択ができないから
・が、全てが決められている原理主義的な宗教に属する人ほど鬱病の割合は少ない
・わが子の延命措置の選択。判断を医者に委ねた方が後悔は少ない
・スーパーで品揃えを豊富にすると、売上は逆に下がる
・人は他人と同じに見られたくないため、敢えて不利益な選択をする

発行:文藝春秋
著者:シーナ・アイエンガー
定価:1,619円+税
約360ページ

第1講:選択は本能である
第2講:集団のためか、個人のためか
第3講:「強制」された選択
第4講:選択を左右するもの
第5講:選択は創られる
第6講:豊富な選択肢は必ずしも利益にならない
第7講:選択の代償
最終講:選択と偶然と運命の三元連立方程式



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