2011/01/24

「インターネット広告は63%無視する」リリースのトリック [週刊IFWA 2010/12/13]

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http://ibukuro.blogspot.com/2010/07/blog-post_12.html

■ 「インターネット広告は63%無視する」リリースのトリック

今回は自分のブログで投稿した記事の内容についてお話します。http://ibukuro.blogspot.com/2010/12/63.html

このタイトルを見て感覚的にそうだよねという反応になるだろうということをみこした?いいプレスリリースのタイトルだとは思います。原典は英語でタイトルも違いますが、日本ではこのようなタイトルで結構いろんなネットメディアが紹介していました。

Twitter界隈でも、同調する呟きが多かったように思いました。そこで私も自分のブログで紹介するにあたり、原典を見にいきました。そうするとどうでしょう、インターネット広告は63%(の人が)無視するというのは表現としておかしいという感じがしました。

例えば何かを好きか嫌いか聞く時に、それぞれの対象を列挙して、好きか嫌いか(の絶対的感覚を)を聞くのが正しいあり方だと思いますが、この調査では、どれが一番(相対的に)好きか嫌いかを問う質問をしていたのです。つまり嫌悪感が殆どなくても、このような質問をすることで簡単に「嫌い」のレッテルを貼れるというトリックが可能なのです。

正確に言うと、テレビ、ラジオ、新聞、バナー広告、検索連動型広告を列挙して、どれを一番無視する傾向がありますかと尋ねています。

原典のリリースをチェックすると、サブタイトルには「they ignore Internet ads the most」と書いてあるので、相対的に最も選択肢の中でどれが一番無視するのかということを明記しているとは言え、原典のメインタイトルも「広告主は金を浪費している?」とセンセーショナルでした。

原典もセンセーショナルで際どい質問と選択肢を用意し、日本で紹介するメディアもそのままの論調でした。

そもそも質問対象者がインターネットユーザで、ラジオ聞いている人とか新聞読んでる人があまりいない可能性も高いので、ラジオ7%、新聞6%は広告を無視されている割合が低いといって喜べるものでもなさそうとも言えるわけです。

数字マニアの私だけが気になるポイントかもしれませんが、ちょっとでも違和感があったらどんな数字でも突っ込んで考えてみるというのも思考の訓練になります。

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