計算方法をコロコロ変える愚

もともと滞在時間に関する指標は、最後のページ閲覧の時間が測定できないので、個人的にはあまり重要な指標として扱ってはいないのだが、ツールベンダーが指標の定義をコロコロ変えることは止めた方がいいと思う。

グーグルアナリティクスのAnalytics 日本版 公式ブログを久しぶりに見てビックリ。
http://analytics-ja.blogspot.com/2007/09/back-to-original-average-time-on-site.html

「平均サイト滞在時間の計算方法を変更しました」そうな。「以前は直帰*1したセッションを除いて、平均サイト滞在時間を計算していましたが、現在表示している平均サイト滞在時間には直帰したセッションも含まれるようになりました。」ということなのだが、皆さん何を言っているのかわかってるのだろうか。定義にうるさい私としては、言っていることが正確にわからない。

この手の記述は正確性が重要なのだが、計算式は一切出てこないし、受け止め方も様々に読み取れる。曖昧な日本語で言われても間違って解釈することが実に多い。何故なら開発者はエンジニアで、利用者はマーケターで、話ている言語が異なるからだと私は諦めている。WEB技術、WEB制作、製品、調査、営業、WEBマーケティングなどに理解のあるプロダクト・マネージャーなどそうそう居ないから、残念ながらこの手の間違いは皆無ではない。

私の理解が正しければ、私ならこう書く。間違っていたらグーグルの説明不足ということだ。「以前の集計方法は、直帰したセッションは、平均滞在時間の集計の母数から除き、2ページ以上閲覧したセッションだけを集計対象としていた。そして2ページ以上閲覧のあったセッションの滞在時間は、最後のページ閲覧時間を0秒として、最後のページ閲覧時間から最初のページ閲覧時間の差を滞在時間と定義し、集計対象としたセッションだけの滞在時間の単純平均値を算出していた」。そして「今後の集計方法は、直帰したセッションも集計の母数に入れ、そのセッションの滞在時間は0秒と定義して、全てのセッションの単純平均値を算出するように変更した」。どんなに冗長でも正確に記述すべきなのは、調査データの鉄則。

あとこの変更をすることによる影響もきちんと記述すべきだ。サイト直帰率はそれなりの割合を占めていると思うので、私の解釈で合っているとすると、0秒でカウントするサイト滞在時間が増えることで、結構平均滞在時間は今までよりも短くなったのだと思う。そんな変更はクライアントから要望されるとは思えないのだが、「旧バージョンの計算方法を望むユーザーさまからの声が多かった為、以前の方法に戻させていただきました。」らしい。

何故こんなことを言うのかというと、実はビックリするような、平均値の算出定義をしていたりすることが現実にあるから。そして大事なことなのに、有料サービスでも、まともに計算方法がしっかり記述しているマニュアルも少ないのが残念。グーグルは無料なので致し方ないが。

こうやって各人がそれぞれ思い込んだ定義による誤った解釈をした数字が一人歩きしないことを願う。

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