2013/02/11

%同志を比較するのに%を使うとミスリードしやすい [週刊IFWA 2013/2/11]

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■ %同志を比較するのに%を使うとミスリードしやすい

「精神疾患のある成人の喫煙率、正常な人を70%上回る」
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324406204578288874185505596.html


こういうタイトルの記事があったのですが、このタイトルに直感的に違和感がしました。これを名づけると「%のトリック」とでもいいましょうか。100%が実際の最高値ではありませんが、100%が最大というイメージがあるため、70%がもの凄く大きな数字に見える効果があります。

実際の記事をみると、「...精神的な疾患を抱える成人のうち、喫煙者は3分の1強の36%に達しており、疾患のない成人の喫煙率である21%を70%以上上回っている...」ということで、36%÷21%=1.71で、70%上回るというタイトルになっている訳です。

例えば癌の発病率が5倍とか言えば「なるほど」となりますが、喫煙率が1.7倍というのではあまり驚かないですよね。もっと大きな差として表現したいというのが記事を書いた人の心理だと読み取りました。

記事タイトルのような短い文章で正しく伝えるのは確かに難しいのですが、%と%の比較をする場合は、何%ポイント差が出たというのがミスリードが少なく、さらにそれぞれの絶対値も言わないと、その比較の相対的な程度も読み取れません。

そのため文中の方の表現は、「...精神的な疾患を抱える成人のうち喫煙者は36%、疾患のない成人の喫煙率は21%で15%ポイントの差がある...」というのが最も望ましい表現法だと思っています。

よくあるのが、この場合に%同志の差で「15%の差」という場合もあります。「15%ポイントの差」ではないところがミソです。大抵大げさに表現したいことが多いので、この記事のように「70%の差」と表現するのですが。どうしても比率で言いたいなら、××率はAとBで1.7倍の違いがあったと言って欲しいところです。

当たり前ですが、情報量を減らすことで失うものがあるのです。私が好きな平均のトリックなんかも本質は同じで、代表値で語ることで、多くの情報を捨てるということと表裏一体の関係なのだということです。

この事例では大きな差を感じなかったかもしれませんが、数字は相対的に絶対的に、あるいは提示する順番、分母分子を逆にするといったいろいろな提示の仕方によって大きく印象が変わることがあることを知っておいて欲しいと思います。

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