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http://ibukuro.blogspot.com/2010/07/blog-post_12.html
■ ホテルに入室できなかった「取っ手」のアフォーダンス
先週末に福岡に出張で行ってきました。その時の話です。鍵式のキーを渡され、2階のその部屋の前まで行き、おもむろに鍵穴にキーを差し込み、キーを回して、取っ手を下に捻って、ドアを引く。そんなアフォーダンス(その時の知覚状況に応じて、正しい行為の手掛かりを発見すること)だったのですが、ドアは開きませんでした。
少々戸惑ったのですが、気を取り直して、キーと一緒に貰った説明書きみたいなものを読んでみました。もう手元にないので、正確ではありませんが、キーを入れて、捻って、引いて開けて下さいとある。何度やってもできない。後で考えれば、最初の思い込み(アフォーダンス)から脱却することができず、問題解決はできなかったのです。
結局フロントに戻り、「開きません」と言って、同行してもらい部屋を開けてもらったという情けない思いをしました。最近はホテルに泊まることなど殆どないため、一般住宅のドアとちょっと違うものは全く理解することができなくなっていたようです。
どういう「取っ手」だったか想像できますでしょうか。よくある「横に10センチくらい左側に伸びている取っ手」です。しかし何とこれは下に押し下げることができない、全く動かない「取っ手」でした。単に引くだけのための取っ手だったのです。
では、説明書にある、「捻って」というのは何だったのか。よく読みなおしても鍵を捻るとは僕には解釈できませんでした。鍵を捻るのは説明するまでもないこと。「捻る」が「取っ手」の掛かり言葉という思い込みで、そこからどうにも進まなかったわけです。
しかも中からドアを開けるときは、捻って押すんですよ。びっくりですよね。内側からは「捻る」ことができるのです。同じ取っ手の動きに統一感がないので、驚いてしまいました。
よくある話に水道の蛇口で、押し下げて水を出すタイプと引いて水を出すタイプがあって、これも見ただけではわからないまずい「ユーザーインターフェース」の代表例として紹介されます。世の中にはそんなことが幾らでもあります。デザインが幾らきれいでも、私はそんなユーザーに優しくないインターフェースが嫌いです。
いま私がウェブ担当者フォーラムで連載している「かってに解析」は、全く数字を「分析」するような記事ではありません。その前にユーザーの気持ちでサイトを動き回ると、どうにも理解できないことが沢山でてきます。
数字の分析も仮説がないと膨大な数字の前に茫然としていまいます。解析以前に幾らでもまだまだ見直してみることがあるということで、そこから始めることを是非お勧めしたいと思っており、最近のセミナーなどでは、「アクセス解析でできないこと」から話を始める時もあります。結構そういう大前提というのは大事なのですが、素っ飛ばすことが殆どではないかと思うので、敢えてそのような構成を意識するようにしています。
さてホテルの一件に話を戻します。ドアを開けてもらうために同行してくれた人は「よくあること」のように、慣れた感じでした。なので私は皮肉気味に「この説明書ではわかりませんよ」とお話しておきました。そして何がわからなかったかまでお話しました。単にクレームするのではなく、改善ポイントを指摘してあげたかったためです。
今回の講演で一緒に同行した旅慣れた方に聞いたら、ホテルのドアは様々で、いろんなことがありますよ、ということでした。ドアくらい誰も迷わないような作りにして欲しいと本当に願った、そんな旅となりました。
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