2011/04/25

テレビ広告費は微増も、国民生活時間調査をみると喜べない [週刊IFWA 2011/2/28]

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■ テレビ広告費は微増も、国民生活時間調査をみると喜べない

先週は個人的に大きな二つのデータ発表があったと感じています。下記ブログ更新情報にも掲載されていますが、一つは電通が発表した日本の広告費、もう一つはNHK放送文化研究所の「2010年国民生活時間調査報告書」。2010年の日本の広告費全体は前年比 1.3%減ですが、テレビは1.1%増となりました。またインターネット広告は9.6%増で、検索連動型広告が2割増と好調です。

テレビは相変わらず膨大な人にリーチするために大事なメディアで、その優位性は当面変わらないだろうなと思っています。その一方で、メディア業界の間では周知の事実だと思うのですが、若い人のテレビ離れ(視聴時間も含めて)が深刻なのは、下記国民生活時間調査報告書の図表5を見ると明らかです。
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/life/life_20110223.pdf

そしてテレビばっかり見ている高齢者の増加は今後進んでいきます。業界関係者で引退が近い方は、もう見て見ぬふりかもしれませんが、こういう事実に危機感を持って対応を進めているメディア業界の方も大勢おられることと思います。

まあここで言いたかったのは二つあります。一つは全体のデータだけみてもよくわからないという事です。単純に属性別にデータを見たりすることで愕然とする事実を思い知ります。

高齢者のテレビ視聴時間が非常に長く、全体平均を大きく引き上げるなんてのは代表的な話で、感覚としては理解していても、分布をみないと本当には実感できません。

テレビ視聴時間は平日1日あたり平均3時間28分ですが、学生はどれくらいだか想像してみてください。そして上記データをみて、自分の想像や仮説がどれだけ曖昧なものかを確認してみるといいでしょう。(答えは図表5の一番右の職業別を見て下さい)

もう一つは外部環境データを意識しているかという点です。ここまでの話の中で取り上げていませんが、人口統計データを意識して属性別のデータを自分の中に取り込めているかということです。

生産人口(15歳~64歳)がどれだけいて、65歳以上の高齢者がどれだけのシェアを占めるのかを考慮にいれて、年代別データを見てみることをお勧めします。高齢者のボリュームは想像以上に多く、若年層のシェアが非常に少ないことを改めて心しておきたいと思います。皆さんも人口統計など1年に1度くらい見て心に刻んでおきましょう。

人口ピラミッド(2008年10月1日現在)http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0402.htm

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