2012/01/28

独自のデザインで見る人を混乱させるユーザーインタフェースの愚 [週刊IFWA 2011/12/19]

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■ 独自のデザインで見る人を混乱させるユーザーインタフェースの愚

初めて訪問する場所へ出かける時、必ず地図を紙に写して持参することにしています。自分は方向感覚は優れている方だと思っていますが、用意は怠りません。

さて先日のことですが、自分で用意した地図を持ちながら、地下鉄新橋駅改札を出たところで地図を見ました。しかし自分の用意した地図と全く一致しません。3分はその地図を見ていたでしょうか。でも結局その地図が理解できず方向感覚が定まりません。

仕方なく改札の駅員さんに、JR鳥森口改札って一体何番出口から出るのがいいのかを聞いた上で、さらにその地図に戻りました。瞬時に方向感覚は戻りませんでしたが、暫くして謎は解けました。その地図では、なんと上が南南西を向いていたのです。

しかも今居る立ち位置から左右が一致している訳でもなさそうでした。鳥森口というようなヒントになる記述もありません。幾つかの手掛かりで補正することもできなかった訳です。

そう言えば、その地図には人だかりがして、その人達も中々立ち去らずにスマートフォンと見比べている人達が大勢いました。多分皆さんも迷っていたんでしょう。

地図なら基本的に上が北を示すように書くという暗黙のルールがあります。デザインの格好良さなのか、地図の書きやすさなのか、どういう理由なのか判りませんが、南南西が上を向いているこの地図には混乱させられました。

ウェブサイトのユーザビリティなどでも、一般的でない横スクロールだとか、初めて来た人には全く理解のできないユーザーインタフェースを提供しているサイトがたまにありますが、ユーザーはそのサイトの斬新なユーザーインタフェースを学びに来ている訳ではありません。

当たり前のことですが、デザインはユーザーにとって判りやすいことを犠牲にするための独り善がりのものではないと思います。決められたルールやフォーマットの制約の上で、素晴らしいデザインをして欲しいと願っています。

(「デザイン」という広義な言葉使いが自分でも気になりましたが、そのあたりはご容赦下さい。)

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