2011/08/29

調査データとプライバシーについてたまには考えよう  [週刊IFWA 2011/8/1]

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■ 調査データとプライバシーについてたまには考えよう

先週ある集まりで調査データのきわどい利用方法についてのお話を伺い、改めて調査データを扱う者の倫理といったものを考えさせられました。

アクセス解析データは、基本的には匿名だけど全数の履歴を集めたものです。そしてこれらのデータをまとめて集計データという数値にして活用するというのが基本です。

様々なアンケート調査では対象はサンプリングされますが、同じように回答結果は集計して全体の数値として算出されます。調査会社は謝礼送付などのために回答者の個人情報を取得することが多いですが、調査依頼主には回答者の個人情報を渡すことはありません。これがいわゆるマーケティング調査業界の原則です。

それでも調査データの個票を見るというのは非常に参考になるため、個人情報を除いた上で、個々の回答というのを活用する(クライアントにも提示される)ということが行われています。全体を統計的に処理して数値で見ることの補完として、個票を見ることで、より具体的な回答者の意見を生々しくイメージできるという利点があるのです。

アクセス解析データも、一部のツールでは、個々人(特定のcookie)の閲覧履歴を追うことができたりします。熱心に見ているユーザーがサイト内で、どんな行動を取っているのかというのは、非常に参考になるのです。

さて、ここから本題に入っていきますが、アクセス解析データで検索語を見ると、どうしてこの人の名前が出てくるんだろうかということで、実際検索したりすることがよくあります。複合語などを見ると少々きわどい言葉があったりしますが、上位になければあまり気が付くことがありません。

アクセス解析データは、常識的な運用をしていればプライバシー情報が含まれるようなことにはなりません。

しかしあらゆるデータを統一的なcookieなどで結びつけて、しかも詳細な検索語、位置情報、ソーシャルな繋がりなどを追っていける究極の世界では、家族や病歴、所属、住所、電話番号、知人、思想、予定、現在の居場所などが「結果的」に簡単に想起できる可能性を想定して、各種業界関係者やアクセス解析データの利用者、さらに被データ取得者にもきちんと説明し、倫理規定などを策定するようなことも必要だと思った次第です。

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