2011/05/30

震災後に中期的にメディア接触行動は変わるのか [週刊IFWA 2011/4/4]

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■ 震災後に中期的にメディア接触行動は変わるのか

今回の震災での被災地の状況をテレビで長く見ていると、気持ちが落ち込んでしまうという現象は皆さんも経験されているのではないでしょうか。長期的に影響が残る場合は、いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)、短期の場合は急性ストレス障害と呼ばれ、恐らく後者の症状が軽く現れたのだと思います。

私の場合、テレビは定時にニュースを見るくらいなのですが、震災後1週間くらいは、テレビの前に釘付けになっている時期がありました。私にも少なからず影響がありました。現在は通常通りのテレビ利用に戻っていますが、必要以上に震災関連のニュースをみない(現実逃避するという事ではなく)ということを意識しています。

私は普段、メディアに関するデータと接していますが、その裏には人口動態統計などの基本データが密接に結びついています。生産人口(15~64歳の人口)、高齢者(65歳以上)の割合とかが、全体の数字に大きな影響を及ぼしますし、日本の場合は急激に高齢化が進んでいるので、データを見る(分析する)上での要注意点になります。

そんな中、ブログ更新情報の一番上にある二つは偶然、今回の震災によって、短期的にどのサイトの利用が増えたのか、メディア接触態度がどう変容したのかという記事になっています。その前の週に紹介したデータの中にも、震災当日や週末の時間別のインターネットやモバイルの利用行動の変化データなどがありました。

これらは極めて短期的な行動変化に関するデータです。私は今回の震災を機に、日本人の行動に変化をもたらすことを期待して、中期的には次のデータを追っていきたいと考えています。一言で言うと、集中行動型から分散行動型へのシフトが起きるか、それがメディア接触データにも現れるのかではないかということです。

当面構造的な電力不足が予想されますから、企業活動には強制的に制約が掛けられるでしょうし、個人個人の生活もある程度、エコを意識せざるを得ないと考えられます。そのように考えますと、

・会社員の実際の業務時間の変化
・長期休暇取得の分散化
 ↓
これらに伴って、メディア自身の提供形態、提供内容の変化
 ↓
・接触メディアとメディア接触時間(長さ)の変化
・メディア接触時間帯の変化


しかし、インターネット視聴率データをこの10年見てきた感覚から言えば、
・ブロードバンドの普及
・モバイルの普及
・ソーシャルメディアの普及


といったインフラや技術、コミュニケーションの方法の変化が非常に激しく交差して進むため、何か一つの要因による変化を測定することは困難で、「これ」が原因だと断定するようなことは無理でしょう。

なので、メディアの利用行動の変化を、ある社会活動の変化の要因と結論づけるのは難しいと思いますが、例えば5年ごとに行われているNHKの国民生活時間調査などで、中長期的な変化が起きている実証データが出てくることを楽しみに待ちたいと思います。

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