2010/12/07

クチコミで振り返る2010年 ~ヒット商品&主要ニュース~

ネットレイティングスのメルマガNielsen Online REPORTER 2010年12月7日号による。
http://www.netratings.co.jp/hot_off/reporter_archive.html

ほぼそのまま転載です。

2010年も残り1ヶ月を切り、忘年会の調整に大忙しの今日この頃。皆様はどのようにお過ごしだろうか。今年最後となる今回のNielsen Online REPORTERでは、2010年の締めくくりということで、この一年間をクチコミで振り返ってみたいと思う。
■ヒット商品では「AKB48」に関するクチコミが圧倒、ラー油もおおきな話題に

まずは2010年をヒット商品で振り返ってみよう。先月、SMBCコンサルティング社か「2010年のヒット商品番付」が発表されたが、その内容は以下のとおりであった。

┌───┬─────東──────┬───────西──────┐
|横綱 |該当なし        |該当なし          |
|大関 |スマートフォン     |食べるラー油        |
|関脇 |もしドラ        |ゲゲゲの女房        |
|小結 |猛暑特需 ガリガリ君  |チンしてこんがり魚焼きパック|
|前頭1|上海万博        |平城遷都1300年祭    |
|前頭2|東京スカイツリー    |LED電球         |
|前頭3|3D映画        |コンパクト液体洗剤     |
|前頭4|はやぶさ        |南アフリカサッカーW杯   |
|前頭5|禁煙外来        |借りぐらしのアリエッティ  |
|前頭6|AKB48       |該当なし          |
└────────────────┴──────────────┘
        (SMBCコンサルティング 「2010年のヒット商品番付」)

これらの番付は出荷台数、売上高等の実績だけでなく、マーケットに与えた意義やインパクト、今後の成長性等を総合的に判断し、決定されているとのことだが、果たしてネット上での盛り上がりはどのようになっていただろう。前述の番付の中からイベント系(上海万博や南アフリカサッカーW杯など)の項目を除いてネット上のクチコミのボリュームを集計したものが以下のグラフ1である。


クチコミのボリュームでは2位に3倍近い差をつけて「AKB48」に関するクチコミがダントツの1位となった。2位は一時期あまりの人気に品切れ状態になった「(食べる)ラー油」。3位は今年後半から急激にメディアへの露出が増えた「スマートフォン」。先日流行語大賞を受賞した「ゲゲゲの~」も4位に入りネット上でも大きな話題となっていた様子がうかがえる。

では次に、これらのクチコミの盛り上がりの様子を時系列で見ていきたいと思う。

AKB48はネット上でも飛躍の年に。2011年はK-POP勢にも注目。
AKB48」に関するクチコミを時系列でみたものが以下のグラフ2である。


年間を通してクチコミのボリュームが右肩上がりに伸びたAKB48は、ネット上でも飛躍の年になったといえそうだ。AKB48のグラフに関して注目すべきはオーディションや選抜総選挙などのイベントのたびにクチコミのボリュームが増加している点である。今では民的な知名度となった彼女たちであるが、このグラフからは継続的に実施されるイベントがブームを加速させていった様子がうかがえる。

また、来年を占う意味を込めて、「少女時代」や「KARA」などK-POP勢にも注目しておきたい。前述の2グループについてはグラフでも示した通り、8月以降からクチコミの数が右肩上がりで伸びているのがわかるだろう。両者のグラフのトレンドが似ているのは同時に語られるケースが多いためだと思われる。興味深いのは「少女時代」や「KARA」も11月下旬時点で既にAKB48の今年初めのクチコミのボリュームがあり、依然上昇トレンドが続いている点だ。彼女たちが2011年飛躍できるかは、AKB48のように継続的にうまく話題を作り出せるかという点にあるかもしれない。いずれにしてもK-POPは間違いなく2011年の注目株と言えそうだ。

■競合商品の発売が話題の起爆剤となった「食べるラー油」ブーム

「食べるラー油」はまさに2010年を代表するヒット商品と言えるのではないだろうか。こちらについても同様にクチコミのトレンドを見ておきたい。


ここで面白いのはクチコミ急増のきっかけである。いわゆる「食べるラー油」では20098月に発売された桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」(通称「桃ラー」)が市場を先行していたが、クチコミのボリュームを見ると、競合商品であるエスビー「ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛」の発売のタイミングから急増していることがわかる。ライバル商品の登場により「食べるラー油戦争勃発!」などと各メディアで取り上げられ、これが結果的に食べるラー油の認知を一気に広めることになった。競合商品の発売が、まさにブームの火に「油」を注ぐ形となったと言えよう。その後、品薄状態が続いた食べるラー油は「作れば売れる」ということで各社から様々な食べるラー油が発売され、また食べるラー油を使った商品も続々と登場した。クチコミのボリュームはモスバーガーから「ざくざくぶっかけ!ラー油バーガー」が発売された66日週にピークを迎えたが以降はブームもひと段落したのか、ラー油に関するクチコミ数は減少傾向が続いてる。

さて、ここまでは2010年のヒット商品を見てきたが、2010年の主要ニュースについても振り返ってみたいと思う。

2大スポーツイベントに国民が盛り上がった2010

皆さんは2010年の出来事をどれだけ覚えているだろうか。1年間の新聞を読み返しながら、筆者の独断で2010年の主要トピックを10個ピックアップしてみたものが以下である。

Nielsen Online REPORTER が選ぶ、201010大ニュース

  1. 朝青龍引退表明(24日)
  2. バンクーバー五輪開催(212日~228日)
  3. 山崎直子さんスペースシャトルに搭乗(45日~420日)
  4. 口蹄疫発生(420日)
  5. 上海万博開幕(51日)
  6. 南アフリカワールドカップ開催(611日~711日)
  7. 小惑星探査機「はやぶさ」地球へ帰還(613日)
  8. ねじれ国会(711日 参院選投票日)
  9. チリ落盤事故(85日~1013日)
 10. 尖閣問題(97日)
 ※時系列順に掲載

それぞれのトピックについてクチコミの推移を示したものが次のグラフ4である。


全体を見てまず目を引くのが「南アフリカW杯」と「バンクーバー五輪」のクチコミのボリュームである。いずれも4年に一度しか開催されない世界的なスポーツイベントということあり国民の注目度も高かったようだ。特に南アフリカW杯は日本代表が善戦したこともありカメルーンに勝利した613日週を中心に複数の週にわたってネット上に多くの書き込みがされていた。

では次に「南アフリカW杯」と「バンクーバー五輪」以外のトピックスにも注目してみよう。
■喜びも悲しみも・・・世間の関心を反映するインターネットのクチコミ

スポーツ以外のニュースでは、「はやぶさ」に関するクチコミが瞬間的ではあるがもっとも高いボリュームを示した。幾多のトラブルを乗り越え7年の歳月をかけて最後には大気圏で燃え尽きながらも任務を全うしたというドラマチックなニュースは、天体ファンならずとも多くの人に感動を与えたのではないだろうか。

また、2010年はポジティブな話題だけではなくネガティブな話題でもネットが盛り上がった。そのひとつとしてここでは「口蹄疫」を取り上げる。口蹄疫は420日に宮崎県で発生が確認され827日に終息宣言が発表されたが、ネット上のクチコミのトレンドも時期を同じくして増加、収束している様子がわかるだろう。この期間、宮崎県への激励や、政府・行政の対応に対する非難、募金活動のニュースや現地からの情報の発信など、さまざまな”公式ニュース以外の”情報・意見が発信されていた。こうして振り返ってみるとみるとネット上のクチコミは世間の関心を測る上でのいいバロメーターになっていたと言えるのではないだろうか。

最後にもう一つ、ソーシャルメディアのパワーを一般に知らしめることになった出来事にも触れておきたい。

Twitterによって短時間で一気に拡散した「尖閣ビデオ」

尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件を撮影したビデオ映像が114日未明に動画共有サイト「YouTube」にて流出したというこの事件はYoutubeを用いた情報流出が大きな話題を呼んだ。しかしここで注目しておきたいのはTwitterの情報伝播の速度である。



グラフは201011月の尖閣諸島に関するクチコミの日次トレンドである。ここに示したものはネット上の情報ソースごとに1日あたりのクチコミボリュームを比較したものであるが、Twitterのクチコミのピークが他の情報ソースより1日早いのがおわかりになるだろうか。グラフには示していないがテレビや新聞で報道されたのは115日になってらである。マスメディアが報じる前の114日にTwitterでいかに急速な情報伝播が起きていたかということがわかる。結果的にネットの情報発信の容易性と速報性を証明したこの事件は、今後のメディアのあり方を語る上で欠かせない大きな出来事と言えるだろう。

以上、2010年をクチコミで振り返ってきた。普段インターネット上でクチコミを目にしている、あるいは発信している皆様からすると、納得できる部分もあれば、実感とかけ離れている箇所もあるかもしれないが、そこはご容赦いただければと思う。

はたして来年はどのような年になるだろう。2011年もNielsen Online REPORTERでは、ネット視聴率やソーシャルリスニング、広告統計などを通して皆様に面白い情報をお届けする予定なのでぜひご期待いただきたい。

Nielsen Online Reporterより転載。転載許諾No.07012007-001

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