2011/09/13

結婚のための、結婚相談所という選択肢

ネットレイティングスのメルマガNielsen Online REPORTER 2011年9月13日号による。
http://www.netratings.co.jp/email_magazine/2011/09/NNR20110906.html

Nielsen Online Reporterより転載。転載許諾No.07012007-001

「結婚相談所」というと、一昔前までは結婚における‘最後の砦’のようなイメージで語られることが多く、恋愛結婚が主流となった昨今においては決してメジャーな選択肢ではなかった。
ところが、前クールのフジテレビ‘月9’で放送されたSMAP香取慎吾主演ドラマ「幸せになろうよ」では、結婚相談所が物語の舞台となるなど、今や結婚相談所に対する世間のイメージは大きく変化しつつあるといっても過言ではない。

東日本大震災以降、多くの人々が独りの生活や将来に不安を覚え、ソーシャルメディア上でも愛情や癒しを求める記事が増加したことは過去のNielsen/NetRatings REPORTERでも紹介したが、震災前後で結婚相談所をはじめとする「結婚情報サービス」に対する消費者の関心と利用状況はどのように変化したのだろうか。

■Yahoo!お見合いのサイト利用者が急上昇
まずは、国内において結婚情報サービスを提供している主要5社のサイト利用者数を見てみよう。(図1)


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Source: Nielsen/NetRatings NetView 2010年7月~2011年7月、家庭のPCからのアクセス
(国内において結婚情報サービスを提供している企業のうち、利用者数の多かったサイトを抽出)


2011年7月時点で、震災が起きた3月よりもツヴァイを除いた全てのサイトにおいて利用者数が増加している。特に結婚情報サービス業界大手のオーネットは、震災翌月の4月には利用者数が2倍以上に跳ね上がった。その後は徐々に減少してはいるものの依然として高い水準を維持している。

そのオーネットを抜いて7月の利用者数において首位に立ったのが「Yahoo!お見合い(旧 Yahoo!縁結び)」(以下、「Yahoo!お見合い」)である。

「Yahoo!お見合い」は、元はヤフー㈱と㈱ブライダルネットが2005年3月に開始した「Yahoo!縁結び」が前身である。「Yahoo!縁結び」で培ったノウハウを生かし、安全性と利便性を向上させた新サービスとして今年7月に開始された「Yahoo!お見合い」は、Yahoo! JAPANという大規模なプラットフォームによって国内最大級の会員数を有し、なおかつコミュニケーションをとる相手については原本による本人確認を行うことが可能であるなど信頼できるサービスを提供していることが特徴で、会費も他社に比べて安価な点が利用者に好評のようだ。

■震災後に行動を起こしたのは男性?
今年1月から7月までのサイト利用者の属性を震災前後で比較してみると、5社中3社において男性の割合が増加している(図2)。特に、若者向け、再婚者向け、高年向けなど、利用者の特性に合わせた豊富なプランを提供しているサンマリエでは、男性の比率が7ポイントも増加している。


サンマリエはサイトの利用者数自体も増加していることから、これは女性の割合が減少したのではなく、男性利用者数の増加が女性のそれを上回った結果と言える。

震災後は、不安定な生活の中の心細さから独身女性の結婚願望が高まったという世論調査のニュースをいくつか耳にした覚えがあるが、ネット上だけでみると、実際に行動を起こしたのはむしろ男性の方だったということなのだろうか。(図2)

http://www.netratings.co.jp/email_magazine/2011/09/13/20110906_02.jpg
Source: Nielsen/NetRatings NetView  家庭のPCからのアクセス
(震災前:2011年1月~3月、震災後:2011年4月~7月とし、各月の利用者数から平均値を算出)


■震災後は高年齢層ほど結婚を意識?
次に、サイト利用者の年代別比における震災前後での変化を見てみよう(図3)。一部例外はあるものの、20代から30代の若年層においては震災後の利用者の割合は減少傾向を示しているサイトが多く、40代から60代では増加しているものが多く見られる。


また、利用者全体のうち高年齢層(40代以降)の占める割合を見てみると、5社中4社において、震災後は10%前後増加している(Yahoo!お見合い:40.4%→ 43.8%、オーネット:43.3% → 51.6%、パートナーエージェント:59.8%→ 67.6%、サンマリエ:47.4% → 49.4%、ツヴァイ:64.7% → 61.8%)。
このことから、震災後は高年齢層ほど結婚への関心がより強まったと言えるかもしれない。(図3)

http://www.netratings.co.jp/email_magazine/2011/09/13/20110906_03.jpg
Source: Nielsen/NetRatings NetView  家庭のPCからのアクセス
(震災前:2011年1月~3月、震災後:2011年4月~7月とし、各月の利用者数から平均値を算出)
※上記の属性情報は、一部20代前半の数値において弊社が統計上の信頼性を確保できると規定するサンプル数を満たしていないものがあるため参考値として参照下さい。


■「結婚情報サービス」の今後に期待
日本では、他の先進諸国と同様、女性が社会で活躍する機会が増えて社会的地位が確立したことや、結婚後の育児や生活に纏わる経済的な問題などが主な要因となり晩婚化が進んでいる。しかし、3月11日に起きた未曾有の大災害や、食糧不足や水不足、計画停電などそれ以降しばらく続いた不安定な生活を強いられた経験は、多くの人々にとって結婚や家族について改めて考えるきっかけとなったのではないだろうか。そして、本気で結婚を考え始めた人々にとって「結婚情報サービス」は活用する価値の高い選択肢の一つとして認識されたのではないだろうか。


今回、結婚情報サービスに関する口コミを調査するにあたって、口コミの記事の中に書かれてあるキーワードを解析したところ、震災以降に書かれた記事では、「めぐり会う(会った)」「頑張る」「変わる」「楽しむ」というポジティブなワードの頻出割合が上昇しており、逆に「行かない」「迷う」「試す」「無駄だ」というネガティブな印象を受けるワードは著しく減少していた。

実際に内容を読んでみても、書き手の多くは結婚に繋がる出会いの場として結婚情報サービスを前向きに利用し自分の人生を明るく切り開こうとしている様子が伺えた。

今後の日本の結婚事情において、結婚情報サービスがどれだけの役割を果たしていくのか、今後も期待しつつ見守っていきたいと思う。

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