2008/03/19

何がウェブ解析を難しくしているか

細谷功氏の地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定を読んで非常に共感した。

自分アクセス解析の分析プロセスは、彼の言うフレームワーク思考力のプロセスと全く同じであることに驚いた。この分析プロセスをデジタルハリウッドで10時間を超える授業として展開しているので、自分のアプローチが正攻法であるという確信を持った。

彼のいうフレームワーク思考力の概念図によると、全体俯瞰力に当たる全体俯瞰の後、分解力である「切り口の選択、(足し算の)分解、因数分解(掛け算の分解)」、そして再び全体俯瞰力にあたるボトルネックの発見という流れになる。

私がアクセス解析でゼロからサイト解析する場合に実践している流れは、
step1:サイト全体の利用傾向を大雑把に把握し、コンテンツ別のアクセスの特徴を掴む。
step2:コンテンツ別など何らかの視点で、分析対象の分解を行う
step3:上記各分析対象別に、流入→サイト内行動→ゴールといった2つから4つ程度のプロセス別に分析を行う

足し算の分解と掛け算の分解はstep2とstep3に相当するものになる。step3ではあらゆる指標を使って非常に細かい分析を行うのだが、常に全体との関係を無視して行われることはない。step1という全体俯瞰から分析がスタートしているからだ。

さてウェブ解析の多くが何故あまり実りのないものに思えるかという答えの一つは、ここにあるような気もする。つまりいきなり細かい事をはじめてしまったり、どう進めていくべきかがわからないことにあるのではないか。

しかし企業のウェブ担当者としては致し方ないかもしれない。企業のウェブ担当者のところには、キャンペーン・サイトの提案、SEO施策提案、PPC・アフィリエイト提案などで広告代理店が頻繁に売り込みに来るだろう。この場合、広告が売れればよいので、効果測定も非常に局所的な視点で行われてしまう事になる。勿論これはこれで目標設定して評価すればよいということにはなるが、全体の整合性などは取りにくいだろう。

まずはSEOで攻めて、直帰率が高くてやっぱり効果がないということが段々分かってくると、次にLPOを提案し。。。といううまい営業をしていく業者に負けてしまうこともあろう。このサイクルに嵌るといいカモになってしまう。

そういう点でいうと、サイト全体を作っている制作会社があれば、彼らは全体を俯瞰しながらアクセス解析もデータが閲覧できれば、有効活用できる立場にある。費用計算は1ページ幾らというような事になるのだろうが、アクセス解析データなども駆使して改良を提案する制作会社はうまく使うとよいのではないか。但しこれも丸投げ、彼らに都合のよいデータだけ使われないように、依頼側のデータ・リテラシーも実は必要だ。自分達で一度はしっかり分析しておくということが必須だろう。

もう一つレベルが違う話しだが、知っている事と出来ることは別で、上記のフレームワーク思考を知っていたとしても、結局普段から実施していないと実際にはできないのだ。アクセス解析の教科書を読んで知っている積りでも、殆んど実際分析作業を行ってみると、何から手を付けたらよいのかわからないことになる。

つまり身に付いていないことは、教科書を2-3回読んでも出来ない。そんなことは「知っている」という人ほど、やらせてみると一向に出来ないということは往々にしてある。今や検索で何でも直ぐに調べたいことは出てくるが、細谷氏も言うとおり、そんな検索+コピペ能力を持っていても今や役に立たないことは言うまでもない。実際少しでもやってみないと身に付かないのだ。楽して身に付くものはない(もちろん効率的に学ぶやり方はあるが)。そして分かった上で業者をうまく活用することが肝要だと思う。

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