本ページでは、アポロニウスの問題(CCC)が、「ジェルゴンヌの解法その1」ページで紹介した手順で何故解けるのか、それでよいのか、といった解説をしていく。根本的な考え方には「反転」があると解釈しているので、①反転幾何の性質を利用しているポイントを中心に説明した中で、必要になる概念である②根心や根軸について、そして同様に③極点や極線について説明したい。ただ、筆者もそれらの新しい概念について、分かりやすく正確に紹介できたとは思っていないので、そのあやふやな部分も正直に記述していきたい。
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2025/09/04
反転幾何を利用した、アポロニウスの問題(CCC)の解までの作図手順(ジェルゴンヌの解法その2)
反転幾何を利用した、アポロニウスの問題(CCC)の解までの作図手順(ジェルゴンヌの解法その1)
3つの円と接する円(CCC)の問題で「3円が包含関係になく、かつ全て離れている場合」を単に反転幾何を使って最後まで解く方法はどうしてもわからなかった。ウィキペディアをみても、「反転とその応用」サイトを参照しても、円環へ反転するところまではわかったが、その後、円環問題を代数的に解く方法や円の膨張と収縮に持っていく方法以外はどこにもなく、自力で解く実力もなく、それ以外の定規とコンパスで作図する方法は無さそうに思えた。
そこで、ウィキペディアがその先に書いていた「ジェルゴンヌの解法」を何とか読み解き、恐らく間違いなさそうだと辿り着いたので、恥を忍んで書くことにした。ジェルゴンヌの解法は考え方の根本は反転を使っているが、さらに根心/根軸、極点/極線といった概念まで理解する必要がある。長編になってしまうことが予想されるので、「とにかく解までの手順を示す」編と「なぜそれが解になるのか」編の2ページに分割した。本ページはその前者で、とにかく一直線に解答を示そう。
3 つの円と接する円は、一般には以下のように8 つの解(青円)がある。この問題の解の作図を反転幾何プラスアルファで解くことができたので、紹介する。手順数はもう本質的な問題でもないので数えない。なお、図はかなり線が密になるので、はっきりわかるように大き目の画像を貼ってあるので、クリックして別画面で表示しながら確認して頂きたい。
2025/08/24
反転幾何を利用した、アポロニウスの問題(CCP)の解までの作図手順
1つの点を通り、2 つの円と接する円は、一般には以下のように4 つの解(青円)がある。この問題の解の作図を反転幾何を利用して解くことができたので、紹介する。こちらも手順数から言えば、反転幾何を利用する方が簡単ということにはならなかった。
後は、第二段階の接線m2, m3, m4の場合を同様に行えばよい。それぞれ対応するm,T,B,C のセットを次のように書きかえれば良い。(m2,T3,T4,B3,B4,C4),(m3,T5,T6,B5,B6,C5),(m4,T7,T8,B7,B8,C6)。それぞれ青円が目的の解円として、図だけ列挙しておくことにする。
反転幾何を利用した、アポロニウスの問題(CLP)の解までの作図手順
アポロニウスの問題の一つ、1つの点を通り、1つの直線と一つの円に接する円は、一般には下図のように4 つの解(青円)がある。この問題の解の作図を反転幾何を利用して解くことができたので、紹介する。こちらも手順数から言えば、反転幾何を利用する方が簡単ということにはならなかった。
反転幾何を利用した、アポロニウスの問題(CPP)の解までの作図手順
アポロニウスの問題の一つ、1つの円に接し、2つの点を通る円は、一般には下図のように二つの解がある。この問題の解の作図を反転幾何を利用して解くことができたので、紹介する。
図形の反転先の作図パターン16種類
前のページでは、点が反転円によってどこへ移動するのかという基本と、以下の4つのパターンについて話をしたが、ここでは実際に与えられた図形と与えられた反転円を使って、反形を作図して示していくことにする。
- 原点を通る直線は原点を通る直線にうつる
- 原点を通らない直線は原点を通る円にうつる
- 原点を通る円は原点を通らない直線にうつる
- 原点を通らない円は原点を通らない円にうつる
・16種類の作図パターン
下記16個の課題の作図手順を一つずつ示していく。ページ内リンクは張ってないので見たいものがあれば、スクロールして見つけて欲しい。なお既に「アポロニウスの問題」関連ページ「基本作図パターン集」において説明済みの作図については、数手順をまとめて1行でさらっと流して書いたので、詳細を確認したい場合は「基本作図パターン集」を参照して欲しい。
「アポロニウスの問題」を解くのに反転幾何を利用する
本ページ群は、「「アポロニウスの問題」をコンパスと定規だけで作図する方法を、10種類の全て丁寧に解説する」の続編だ。いきなりこのページに訪れた方は、まず先にそちらを読破し、「アポロニウスの問題」についてしっかり理解をして頂いた上で、読み進めて頂きたい。
・何故反転幾何なのか
様々な幾何の問題を解くときに、「反転幾何」の仕組を知っていると、別の簡易な問題に変換させてそれを証明すればよい、といった利用方法で活躍することがある。「アポロニウスの問題」を解くのにも反転幾何を使えるという話を聞いたので、まずは「反転幾何」とは何かを調べ、その次に実際に「アポロニウスの問題」を解くのに、その反転幾何をどう使いこなすのかを探ってみた。なお使う「反転幾何」については、中学幾何の知識の延長線上で理解できる範囲(数式も一切出てこないのでご安心あれ)しか扱わない。また厳密な証明のような議論は省くので、細かい部分では不正確な記述があることはご容赦願いたい。
実際筆者が「アポロニウスの問題」の10種類の問題で、反転幾何によって解けたと言えたのは、筆者の能力不足か「CPP」「CLP」「CCP」の3つだけだった(反転幾何を利用することで解く方法は別のページでそれぞれ示す)。しかも手順数は反転幾何を利用しない場合よりも多かった。なるほどそう解くのか感心に思う反面で、ちょっと捻り過ぎ(凝り過ぎ)じゃないかとも思った次第だ。だが、それも「アポロニウスの問題」に限って言えば、ということになるだろう。
・反転変換について
「反転」とは、平面上の点を別の点に移す変換のこと。そのために使う円のことを「反転円」あるいは「基準円」などと呼ぶ。その円Oの中心を点O、半径は r としておこう。この円Oによる「反転」を以下のように定義する。
『反転により点Pは、半直線OP上の点で、OP×OP′=r^2 (rの2乗)を満たす点P′に移る』
定義から分かると思うが、反転円上の点Qは反転変換しても動かないのはわかるだろう。OP×OP′=r^2=r ×r =OQ×OQ' なら、半直線OQ上の点で r =OQ'なのでQ=Q’でしかないからだ。
幾つか言葉の定義を加えておく。点Oを反転の中心、r を反転半径、P'のことを反転円Oによる点Pの逆点という。またある点の反転を2度繰り返せば、P→P'→Pとなることから元に戻ることも分かるだろう。
そして、「直線」は点の集合体なので、ある直線を「反転」することもできるし、「円」などの図形も丸ごと「反転」することができる。反転で図形Aが図形A'に移るとき、図形A'を反転による図形Aの反形という。
なお、点O自身の反転変換先はP=Oになるので「OP×OP′=r^2」の定義では決められないことが分かるだろう。Pを反転の中心Oに無限に近づけていくと、P' は無限に遠い点に移ることになるので、特別な場合として「無限遠点」にうつされる。「アポロニウスの問題」を解く場合に、これを利用することになる。
・図形はどのように反転されるか
別のページで作図方法と共に詳しく解説するが、反転によって直線や円はどのように反転変換されるかと言うと、
- 原点を通る直線は原点を通る直線にうつる
- 原点を通らない直線は原点を通る円にうつる
- 原点を通る円は原点を通らない直線にうつる
- 原点を通らない円は原点を通らない円にうつる
・反転の性質①反転によって接する、接しないという状況は変わらない
円と円または円と直線が接するというのは共有点が1つということ。反転は一対一対応なので2つの図形の共有点の数は反転後も変わらない。つまり「円と円が接している」といった状態の時に、その「反形」同士も接しているという状態を維持するのだ。反転後の図形の作図法は別途紹介するが、下図の通り「反形」同士も接しているだ。
そして「円と円が接している」状態よりも「円と直線が接している」方が、幾何学では扱いやすいことが多い。つまり、2円がある場合、反転によって一方の円を直線に移し,反転後の世界で取り扱いやすい「円と直線」の接している状態で問題を解くと楽になるのだ。アポロニウスの問題を解く上でメリットになりそうなことが分かるだろう。
・反転の性質②反転円と直交する円は反転によって変わらない
アポロニウスの問題を解く上で、何かの操作を行っても変わらない点や変わらない図形はメリットになる。つまり不動点や不動円などがあると便利だ。すでに不動点については、上の「反転変換について」の節で、反転円上の点Qは不動点であるという話をしてある。
そして反転円に直交する円の反形は、その円自身であるので、反転しても動かない不動図形になる。証明は一部だが、以下の図で納得して頂きたい。
・反転の性質③直線や円が交わる角度は反転変換で変わらない
また反転変換では角度を保つ性質もあるので、例えば直交する線を反転すれば、下図の通り直交する円となる。
アポロニウスの問題では相似形を扱うことも多く、具体例は思いつかなかったが、角度が変わらなければ、相似関係が不変であることも重要そうだ。また上の二つ(直交する図形同士/接する図形同士を反転しても、その関係は同じである)は、その一例とも言える。
・「アポロニウスの問題」を解くのに反転幾何を利用する(このページ自身)

















































