2012/01/09

「SQ "かかわり"の知能指数」を読んだ

SQとは Social Quotient のことで、知能指数のIQをもじったものだ。幸福度を高めるような他者へのかかわりの力を「SQ」という指数で表現することにしたらしい。で、SQが高い人は幸福な人であるという結論。しかしそもそも「幸福度を高めるような他者へのかかわり」という言葉自体から考えて、「SQが高い人は幸福な人である」は同義なのではないか、単なる言葉の言い換えとしか取れなかったんだけど。

個人的にはいわゆる「生き方」系や「啓蒙」系の本はうんざりしているので、あまり読まないのだが、振り返っても何故これをアマゾンで買ったのかよくわからない。震災で生き方が変わった的なデータなどには未だに懐疑的で、それっぽい臭いがしたので、反証したかったのかもしれない。

冒頭に調査データが提示され、「他人にかかわって、相手のためになることをしたいと思っている人には、幸せな人が多いのです」とあったのだが、イヤイヤ、それは違うだろうと思った。そういう心に余裕がある人は一定以上の所得がある人で、だから幸せなんだよと。また相関関係と因果関係を取り違えている人がいるやと思ったわけ。

まあ読み進めてみると、後の方で、年収別のデータとかは出てきているので、変な思い込みをしているのではなさそうだというのは判明したのだが。でも年収が上がるにつれ、年取るにつれSQが高くなる傾向があり、予想した結果で別に何か新しい発見があったとは感じない。また全体を通して、今言われると心地よさそうな言葉が溢れていて、今が旬な感じではあった。

自分には新しいことはあまりなかったけど、「何か自分にもできることがないか。そう思いながら、でもどうしていいか分らないという人にとって、本書は意味のある他者への貢献を考える、一つの材料になるのではないか」という前書きの通りで、そういう関心を持っている方にお勧めしたい。

<目次>
第1章:幸せの秘密はSQにあり
第2章:曲がり角にきた「ゆたかな社会」
第3章:社会はこうして再生する
第4章:SQ社会の未来像



発行:ディスカバー・トゥエンティワン
著者:鈴木謙介
定価:1,500円+税
約250ページ

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