デジタルハリウッド大学院で「アクセス解析実践」の授業をやっている当日に出版セミナーがあるというので、筆者の話を聞いてみて面白そうだと思ったので、本も買って読んでみたという経緯だ。セミナー当日は私の授業と時間的には少しダブっていたので、話が始まって30分くらい経ったところから聴き始めた。
コンサルの人がよくやる2軸、4象限での解説をしていたので、またこのパターンかと思いつつも、「このエリアもあのエリアもダメでした、ソーシャルって簡単じゃない」みたいな話だったので好感を持てた。というのが、本も読んでみようかなと思わせたことでもある。
さて本の方に話を移そう。付箋はかなり付いた方だろう。まあコミュニティを作って運営したことなんかないので、これやっても駄目だし、あれやっても駄目みたいな話は、確かにそうだろうなあと思いつつ、何故うまくいかないかといったポイントには次々に付箋がついたという次第だ。
ただ、第1章と第2章に関しては、僕には全く不要だった。今更、インターネットの成り立ちみたいな歴史を紐説く部分や、世界は6人で繋がっているみたいな話は、もういいやということで、いつになったら本題が始まるのか正直いらいらした。ちなみにここまでで80ページを費やしている。
まあでも、インターネットの本質である「繋がる」ということの意味や歴史を一般の人にじっくり伝えるということは意味があると思うので、この部分がないとストーリとしてまとまらない本になっていた可能性がありそうだ。
で本題は第3章から第6章ということになるだろう。冒頭に紹介した2軸は、関係構築-情報交換、価値観-現実生活というものだ。4つのエリアそれぞれにおける、コミュニティの問題点をまず明らかにしたのが第3部。
第4部ではその中で企業が活用するエリアがあるのかということに言及。結局、企業のコミュニティとして成り立ちえるのは「関係構築」&「価値観」のエリアにしかないという。「企業と顧客が価値観で共鳴し合う関係構築の場」を作るしかないという。そこでネットワークのハブになるサポーターをしっかり育てることが大事だという。第5-6部は実例紹介という流れになる。
ある程度の規模以上の企業で、オンライン上にコミュニティを展開してみたいという担当者にはうってつけの本に違いない。参考文献リストを見る限りでは、本を書くにあたって読んだのかはわからないが、広範囲に亘って本を読んでいて勉強していることはわかった。
<目次>
序章:冒険に旅立つ前に
第1章:見える人と見えない人
第2章:インターネット・クラシックへの旅
第3章:ソーシャルメディアの地図
第4章:企業コミュニティへの招待
第5章:つながることが価値になる・前編
第6章:つながることが価値になる・後編
終章:希望ある世界
発行:ダイヤモンド社
著者:武田 隆
定価:1,800+税
約330ページ
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