これに対して、すぐにcomScoreも自身のブログでコメントを挙げた。
双方ともに非常に紳士的なコメントとなっているが、裏の大人の事情はここからは窺し知ることができない。BusinessWireにおいて、Yahoo!はこのリリースの理由を、非常に重要なことだから、広告主や関係者に周知したいということのようだが、一方でcomScoreも自身のブログで言っているように、インターネット視聴率サービスを利用している濃い関係者は、サービス画面において、データ修正などの告知は見ているはずだとしている。
真相は明らかではないが、どちらの言い分も一理ある。Yahoo!としては、特に米国データでページビュー数が3.0%過小評価されたのは不愉快であることは間違いなかろう。サービス画面において、リリースデータの修正告知みたいなものは、あまり気がつかないものである。しかし2-3%の修正でわざわざニュースリリースまでしたYahoo!の対応は少し厳しいような気もする。
私はもうその立場にいないが、今でもインターネット視聴率調査データの信頼性確保のために尽力した第1人者であると自負しているが、そもそも何故このデータ修正が行われたのかが疑問で仕方ない。
間違いが起こるケースとして考えられるのは、次の4つくらいが可能性としてある。
A.月次データの元になる初期値(インターネット人口などのベースデータ)のセット間違い
B.データ収集時におけるトラブル(データ欠損など)
C.データ集計時に使うサイト登録など分類上の間違い(所属ドメインの登録間違いなど)
D.データ集計時におけるエラー
もしYahoo!だけの数値修正であるとすれば、全てのデータに影響を及ぼしそうなA,B,Dは考えにくい。日本のデータに関しては言及がないが、全世界的に影響があるようなので、Cである可能性が一番高い。
しかし所属ドメインの新規、変更、削除などは日常茶飯事なので、全てをリアルタイムに自動的に登録するようなことは不可能である。事前にメジャーなサイトなどとはこういう変更を事前に反映できるようにコミュニケーションしていると考えられるので、今回それがやられていたとすれば、comScore側もデータをリリースする前に、慎重にチェックしてからデータをリリースすると思うのだが。
また私がサービス提供側の立場だったらという視点で考えると、そもそも内部でのエラー発見であれば2-3%の範囲であれば、他の整合性にすべて影響するのでもない局所的な問題なら、一度出荷したデータを訂正することは慎重になる。
こう言い方をすると語弊があるかもしれないが、所詮視聴率のデータなんてサンプルデータなのだから、数%くらいの誤差はつきものだ(もちろん提供側の論理であることは重々承知している)。バグがあってもその現象が生じる組み合わせの確率が3%なら、ソフトウエアは出荷される。これは超大手メーカーに居た時に学んだことだ。満足度と適正価格を維持するための微妙なバランスはどの世界のビジネスでも同じことだと考えている。
またデータは早く出してくれという要望はいつでもあるのだが、じゃあ精度の低いデータでいいんですかということで、結局どこかで折り合いをつけなければいけないのだ。精度を上げるために調査サンプルサイズをもっと多くしてくれというのも同じような要望の一つ。精度を倍にするために4倍のコスト払ってくれますかということだ。ちょっと話がそれたが。
こんな風に考えていくと、事前に話していたにも関わらず、それを加味したデータになっていないことが明らかで、その指摘に対して修正せざるを得ない状況になったのかもしれない。勝手な想像なので、真相はわからない。
別の話と思うかもしれないが、現在私の事業ドメインでもあるアクセス解析データだって同じこと。上記と同じように考えると、トラブルなど幾らでも生じる。その場合どう対処すべきかは人ごとではない。
A.データ収集時におけるトラブル
B.データ集計時の設定誤り
C.データ集計仕様の間違い
D.データ集計時におけるエラー
タイトルにも書いたけど、アクセス解析ツールも知らないうちに仕様なんて変わってることだってあるかもよ。上で言えばC。所詮プログラマーはマーケターの言うことをきちんと理解してプログラムを組んでいるなんて考えるのはおかしい。残念だが、まだまだそういうことだ。
ユーザーもリリースノートとかに書いてあっても、読まないしね。どう影響があるのかもピンとこないだろうし。
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